肌を摩擦するのがNGな理由は?擦ると起きる悪影響 

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スキンケアの基本はとにかく擦らないこと、

と言うのは知っている方も多いのではないでしょうか。

クレンジングや洗顔、保湿のやり方を解説するような時には優しく擦らないようにと

注意書きされる事が殆どで、摩擦は肌に悪い影響を与えるとされています。

 

では具体的になぜ肌を擦ってはいけないのでしょうか?

今回は肌を摩擦することによって起きる悪影響と、

肌を擦らないために注意すべきポイントについてお話します。

 

 

肌を摩擦してはいけない理由

1.肌のバリア機能の低下

肌を擦ることによる一番大きな影響がバリア機能の低下です。

肌は一番外側の部分が表皮、その下が真皮で出来ています。

表皮は肌を外部の刺激から守るバリア機能を担っており、外側から順に

角質層、顆粒層(かりゅうそう)、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層の順で出来ていて、

肌の生まれ変わり(ターンオーバー)によって基底層から作られた新しい細胞がどんどんと外側へと育っていき、古い角質が剥がれ落ち新たな角質となって肌の健康を保っています。

この新しい細胞が作られ表皮が全て生まれ変わるまでの周期が28日だと言われています。

 

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そして肌のバリア機能を担っているのが一番外側の角質層です。

角質を形作っているのは角質細胞と、その隙間を埋める細胞間脂質

良く例えられるのがレンガ造りの壁で、レンガとなるのが角質細胞、その隙間を埋めるセメントの役割が細胞間細胞となります。こうしてレンガとセメントの壁で肌の表面を隙間なく覆い、さらに肌の表面に皮脂膜が作られる事で肌内部の水分の蒸発を抑え潤いを保ち、紫外線や摩擦、ウィルスや細菌と言った外部からの刺激から肌を守っているのです。

 

ではなぜ摩擦でバリア機能が低下するのかと言うと、

摩擦により皮脂膜や角質が剥がれ落ちてしまうからです。

表皮全体の厚さは0.2ミリ、さらに角質層の厚さはわずか0.02ミリとラップ1枚分ほどしかないため、少し触っただけとかちょっと掻いただけ、と言ったほんのわずかに思える摩擦でも角質が剥がれ、角質細胞と細胞間脂質で埋められたバリアに穴が開いてしまうのです。

 

そうしてバリアの無くなった肌は乾燥し肌の水分も失われるため、

余計に外部からの刺激に弱くなりさらにバリア機能が低下し、それによりまた

肌の乾燥や外部からの刺激によって肌荒れが起こる…と言った悪循環が発生します。

 

そして摩擦による影響はそれだけではありません。

例えばけがをした時に傷口をふさごうとするのと同じように、外部からの刺激を受けた肌は、刺激から身を守ろうとターンオーバーのサイクルを早めようとします

一見細胞が早く生まれ変わるなら問題ないと思えるかもしれませんが、

早すぎるターンオーバーは十分に育ち切っていない未熟な角質層を作り出し

建物でいう「突貫作業の手抜き工事」のような状態になってしまいます。

そのような角質層は大きさが不揃いでキメが荒く、同時に天然保湿因子(NMF)の量も不十分なため乾燥してガサガサで、バリア機能の低下した弱い肌になってしまいます。

 

 

バリア機能が低下する理由の簡単なまとめ
  1. 角質が剥がれ落ちてバリア機能が低下する
  2. それを補うためにターンオーバーが早まる
  3. 未熟な角質層が作られバリア機能は低下したまま
  4. 乾燥している上外部からの刺激に弱く、肌荒れが起きやすい弱い肌になる

 

このように肌を摩擦する事はバリア機能が低下して弱い肌になったり、

直接的な肌へのダメージへと繋がります。

 

2.シミ、しわ、たるみを引き起こす

本来紫外線の影響を抑え肌を守るため分泌されるメラニンですが、

紫外線を受ける以外にも蒸し刺されなどで炎症を起こしたり、摩擦によっても分泌が促されます。

 

メラニンは表皮のうち基底層で作られ、通常であればそのままターンオーバーと共に

剥がれ落ち影響を残さないのですが、分泌が過剰になったりターンオーバーが乱れると

肌に蓄積し、そのままシミ(黒ずみ)となって残ってしまいます。

良く擦ってしまう体の部分、肘や膝、わきや人によっては手首などが黒くなるのは

摩擦によってメラニンが過剰に生成されるからです。

もちろんそれ以外にも摩擦は体のいたるところで起きるため、ゴシゴシと摩擦するスキンケアによって顔にシミが出来たり、締め付けの強い下着などを付けることによって下着回りやデリケートゾーンなどにもシミが出来たりします。

 

また、肌の水分が失われ乾燥すると肌のキメが乱れると、それによりしわが出来やすくなります。乾燥により出来るしわは、若いうちや日ごろのケアで肌に弾力がある場合は

一時的に起きるだけで元に戻りますが、加齢などによりコラーゲンやエラスチンといった肌にハリや弾力をもたらす成分が減少すると、長く残り消えにくいしわとなってしまいます。

 

そして最後に注意したいのがたるみです。

顔をマッサージしたり、擦ったり揉んだりと言ったことをすると肌が伸び縮みします。

このように皮膚を引っ張るようなことをしてしまうと、顔を引き締めている靭帯や皮膚が伸びてしまい顔のたるみに繋がるのです。

一度伸びてしまった靭帯は元に戻る事はないため、もし顔をぐりぐりとマッサージなど

している場合はシミ、しわ、たるみの原因となるため直ぐにやめた方がよいでしょう。

 

3.敏感肌になる

バリア機能が低下して弱くなった肌のことを敏感肌と言います。

敏感肌になってしまうと、例えば歩いているだけでも服と肌が擦れて赤みやかゆみが出たり、少し熱いお湯に浸かるだけで体がかゆくなったり、辛い物を食べただけで肌が荒れるなど

さまざまな刺激にとても弱く、デリケートな状態になります。

使えるメイクや化粧品などもモノを選ぶようになり、肌に合わずに

肌荒れが出たり悪化したりすることも。

 

また、かゆみによって肌を引っ掻いてしまいがちなのに加え肌自体が刺激に弱いため

大きな肌トラブルを引き起こしがちで、

それによりストレスも溜まりやすく肌以外にも悪影響を及ぼします。

 

肌を摩擦しないために注意すべきポイント

1.スキンケア

クレンジングや洗顔、美容液に化粧水、保湿クリーム等々、普段のスキンケアには

肌を摩擦してしまう要素が沢山あります。

正しいスキンケアのやり方に共通するのはごしごしと擦らない、揉まないこと。

洗顔などで汚れを落とすためにと顔全体を擦ったり、保湿クリーム乱暴に広げたりしてしまっていると、肌のためにケアをしているつもりが逆効果になりかねません。

洗顔ならば良く泡を立て直接顔に触れずに汚れを落としたり、美容液や化粧水をつける時にはコットンではなく刺激を与えづらい手で行うなど、肌に優しいスキンケアを行いましょう。

 

2.服のサイズや素材に気を遣う

ぴっちりと肌に密着するようなタイトな服や、

ワイヤーやゴムなどの入った締め付けの強い下着、サイズの小さめな服、

ごわごわした服など肌に強い刺激を与えるものは避けた方が良いでしょう。

肌の強い方はそういったものを着ても問題になりませんが、もともと肌の弱い方や

肌が荒れて弱くなってしまっている方が同じように着用すると

肌荒れやかゆみ、痛みを引き起こします。

敏感肌のになっている方は綿やレーヨンなどの肌触りの良いものを着用しましょう。

 

3.お風呂

お風呂場で体を洗う時にナイロンやポリエステルなど、目の粗くしっかりした

素材のタオルを使っていませんか?刺激が強い分だけ皮脂や汚れも良く落ちますが、

摩擦が強く肌に良いとは言えません。そのため、体を洗う際には手で優しく洗うのがおすすめです。

そもそも体に自然とつく汚れの殆どは、毎日お風呂に入っている場合湯船につかるだけで落とせる水溶性のもののため、ボディソープなどを使い頻繁に洗う必要がありません。

 

逆に毎日体を洗うと肌を守ってくれる皮脂を取り除きすぎてしまい、肌の乾燥が進み肌のバリア機能を低下させます。

そのため汚れが気になる場合や皮脂の分泌量の多い部分、耳の裏や脇の下などのみ

ボディソープを使い洗い流し、普段は入浴のみに留め体を洗わないのが肌に良いと言えます。

どうしても汚れやニオイが気になる方は、体を洗う頻度落とすなどして試してみて下さい。

 

4.なるべく顔を触ったり皮膚を掻いたりしない

ついくせで顔を触ったり、ぽりぽりと掻いてしまうこともあると思いますが、

気づいた時にすぐにやめられるよう頭の片隅に肌を摩擦しない事を置いておきましょう。特にかゆいところを爪でがりがりと掻いてしまうのはいけません。

強く掻くと一時的にかゆみは収まりますが、掻いた事によってバリアが壊れ

刺激に弱くなり炎症を起こし悪化してよりかゆくなってしまいます。

無意識のうちに触ったり掻いたりしてしまうため完全に防ぐのは難しいですが、

なるべく肌を摩擦しないよう心がけましょう。

 

まとめ

肌のバリア機能や正しいサイクルで行われるターンオーバーは、

肌の健康の基礎となる部分です。それが乱れると言っても

ちょっと擦る程度でそこまで大げさに言う事かと思われるかもしれませんが、

こういった事が一つ一つ重なって肌荒れやしみなどの肌の不調となって現れてきます。

健康で美しい肌のためにも、肌の摩擦について意識してみてはいかがでしょうか。